文系大学院生の読書録

詩・ミステリ・たまーに洋書

親に優しくできない。「昨日」W.S.マーウィン

 

"Yesterday" by W.S. Merwin

 

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私はいい息子ではないと、歳上の友人が言う。両親に会いに行くことは稀で、同じ町に住んでいた時でさえ、月に一度くらいだったから。最後に会ったとき父親は私の話を聞きたがったけれど、私が腕時計を見たのに気づいて、「もし忙しいなら、ここにいなきゃいけないなんて思わなくていい」「お前には大事な仕事があるだろうし、会わなきゃいけない人もいるだろう」と言った。だから私は「そうなんだ」と言って帰ってきた。

 

though there was nowhere I had to go

and nothing I had to do

行かなきゃいけないところなんてなかったし

しなきゃいけないこともなかったんだけれど

 

***

「私」と「父親」のやりとりが、「歳上の友人」の言葉を通して、「私」を責めるように描かれる。それはたぶん、この「友人」が「私」と同じように振る舞ったことがあって、それを後悔しているからだと思う。けれど何がつらいって、優しくしたいと思っても、優しくしないといつか後悔するとわかっていても、なぜか親と一緒にいるのがしんどかったり、優しくできないときがあること。わかっていてもできないから、自己嫌悪に陥るしかない。「私」のように・・。

 

 

"Yesterday" by W.S.Merwin(1927-)

from Good Poems ed. by Garrison Keillor (pp. 376-77)

Yesterday by W. S. Merwin - Poems | Academy of American Poets

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