文系大学院生の読書録

詩・ミステリ・たまーに洋書

不安なときは。「野生のものたちの静けさ」ウェンデル・ベリー

 

 "The Peace of Wild Things" by Wendell Berry

 

***

When despair for thr world grows in me

and I wake in the night at the least sound

in fear of what my life and my children's lives may be,

 

世界への絶望が、自分の中で大きくなって

自分の人生や、子どもたちの人生はどうなるのだろうと怖くなり

夜中、かすかな物音で目が覚めてしまうとき

 

 

そんなときは、カモが水にたたずみ、サギが餌をついばむところへ行って横になる。「野生のものたちの静けさ」「静かな水の存在」があるその場所には、人生を考えすぎて、自分で自分の首を絞めてしまうような者はいない。

 

 And I feel above me the day-blind stars

waiting with their light. For a time

I rest in the grace of the world, and am free.

そして頭上に、真昼の星が

光りながら待っているのを感じる。しばらくのあいだ

私は世界の美しさに安らぎ、自由になる。

***

 この先自分はどうなるのだろうと、不安で身動きが取れなくなることがある。そこから抜け出す術はたぶん人それぞれ。私にもいくつかあるけれど、森の中に行ってぼーっとするのは好きだ。

 目に見えない未来は、一度不安にとらわれると、ものすごく恐ろしいものに思えてくる。けれど実は、そんなに怖いものではなくて、ささやかに光りながら、私たちを待っていてくれるものなのかもしれない。目には見えない真昼の星のように。

 

"The Peace of Wild Things" by Wendell Berry(1934-)

from The Ecopoetry Anthology. Ann Fisher-Wirth and Laura-Gray Street ed.(p.177)

The Ecopoetry Anthology

The Ecopoetry Anthology