文系大学院生の読書録

詩・ミステリ・たまーに洋書

肋骨の間から「穴掘り」ドナルド・ホール

 

"Digging" by Donald Hall

 

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ユリが地面から顔を出した日の深夜、庭仕事を終えた「君」の指は汚れ、目は喜びでぼんやりしている。

  

寝室の窓から入ってきた南風。「君」はその腕に抱かれ、家の外に運び出され、ひび割れた地面に落とされる。(そしてそのとき「君」は種のように小さくなっている。)

 

 

「君」の肌にとって、冷たく乱暴な土は、見知らぬ男の手のようなもの。「君」は土の中、水に身をゆだねながら死の眠りにつく。

 

やがて「君」は脇腹が開いていく痛みで目を覚ます。肋骨の隙間から、緑の新芽が太陽に向かって顔を出そうともがいているのだ。

 

君が、君らしい姿で

思い悩むことなく

花たちと一緒に、緑に黄色、白、そして赤の言葉で

蜂に話しかけながら、花開くところへ向かって。

  

***

"dig"しているのは庭仕事をする「あなた」なのか、それとも「あなた」の中の「あなた」なのか。肋骨の間を内側から突き破ろうとする痛みは生々しい。けれど、そんなのたうちまわるほどの痛みを感じるとき、新しい「あなた」が生まれようとしているのかもしれない。

 

"Digging" by Donald Hall(1928-)

The Ecopoetry Anthology. Ann Fisher-Wirth and Laura-Gray Street ed. (p.295)

The Ecopoetry Anthology

The Ecopoetry Anthology