文系大学院生の読書録

詩・ミステリ・たまーに洋書

そして私は花だった。「冬の詩」ニッキ・ジョバンニ

 

 

"Winter Poem" by Nikki Giovanni

 

冬の終わりに、雪が降り始めたときのこと。

 

あるとき「雪」が「私の額」に落ちてきた。「私」はその雪を深く愛し「くちづけ」る。すると「雪」は嬉しくなってしまって、「いとこ」や「兄弟たち」を呼び集めた。雪に包まれた「私」は、みんなを「愛したくて」「抱きしめた」。すると、

 

・・・みんなは

春の雨になり 私はじっと

立ったまま そして 私は花だった。

 

 

***

 

早春の雪が雨へと変わる瞬間が、こんなにいとおしく書かれている詩を他に知らない。

雪を抱きしめ、雪とじゃれあう「私」が、最後にすっと「花」として立ち上がり、雨の中たたずむ様子はなんとも言えずせつない。

 

「花」のキス、つまり春の訪れは、「雪」を「雨」へと変えてしまう。けれど「雪」が「花」とともにいられるのは、この瞬間、冬の終わりに「雨」へと変わる瞬間だけ。そして「雨」になった「雪」は土へとしみこみ、やがて「花」の一部となる。

 

単なる自然詩と言うよりも、まるで相思相愛の恋愛詩。それも浮かれるような恋愛ではなくて、ほんの一瞬しか交わることのない、はかない恋。

 

「私」と「雪」の幸せな戯れと、そのあと一人で立つ「花」のさびしさ。

生まれては死んでいく人の恋も、もしかしたらこんな感じなのかもしれない。

 

 

Winter Poem Poem by Nikki Giovanni - Poem Hunter

"Winter Poem" by Nikki Giovanni(1943-)

from Black Nature.  Camille T. Dungy ed.(p.328)

Black Nature: Four Centuries of African American Nature Poetry

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