文系大学院生の読書録

詩・ミステリ・たまーに洋書

親の影響から逃げられるのか。「天気」リンダ・パスタン

"Weather" by Linda Pastan *** 小さい頃、黒い傘が光を遮るように、父親に脅されていた。そのせいで、今の人生はシンプルすぎて、まるで普通じゃないみたいに思える。 You speak of this, throwing the window open on a plain spring day, dazzling aft…

人生がつまらないなら飲み会に行くな。"As Much As You Can" Constantine Cavafy

「可能な限り」 コンスタンディノス・カヴァフィス *** もしも人生があなたの思い描いていたものと違うなら、とりあえずできるだけのことをする。そして、世間と関わりすぎたり、出かけすぎたり、人と話しすぎたりして、自分の人生を貶めるようなことはし…

親に優しくできない。「昨日」W.S.マーウィン

"Yesterday" by W.S. Merwin *** 私はいい息子ではないと、歳上の友人が言う。両親に会いに行くことは稀で、同じ町に住んでいた時でさえ、月に一度くらいだったから。最後に会ったとき父親は私の話を聞きたがったけれど、私が腕時計を見たのに気づいて、…

不安なときは。「野生のものたちの静けさ」ウェンデル・ベリー

"The Peace of Wild Things" by Wendell Berry *** When despair for thr world grows in me and I wake in the night at the least sound in fear of what my life and my children's lives may be, 世界への絶望が、自分の中で大きくなって 自分の人生…

プルーストはお好き?「栞」トム・ディッシュ

"A Bookmark" by Tom Disch *** 4年前プルーストを読み始めた「僕」。簡略版の半分を過ぎたけれど、まだ700ページも残っている。それでも「僕」は最後まで読み通すつもり。だってこれ以上退屈になるはずがないから。 主人公はアルベルチーヌのためにシル…

魔女修行に探偵業。It All Began by Adele Abbott

It All Began by Adele Abbott. 表紙がかわいすぎる。 Witch Is When It All Began (A Witch P.I. Mystery Book 1) (English Edition) 作者: Adele Abbott 出版社/メーカー: Implode Publishing Ltd 発売日: 2015/08/24 メディア: Kindle版 この商品を含むブ…

肋骨の間から「穴掘り」ドナルド・ホール

"Digging" by Donald Hall *** ユリが地面から顔を出した日の深夜、庭仕事を終えた「君」の指は汚れ、目は喜びでぼんやりしている。 寝室の窓から入ってきた南風。「君」はその腕に抱かれ、家の外に運び出され、ひび割れた地面に落とされる。(そしてその…

どっちが飼い主?「犬の散歩」ハワード・ネメロフ

"Walking the Dog" by Howard Nemerov 「なぜ詩を書くのか?」リーゼル・ミュラーとは全然違った答えが出てきた。 犬の散歩に行く。「彼はしっぽを立て、鼻を下げて」こそこそ歩いていく。一方「私」はいつも街灯を見上げているので、犬の様子はよく見ていな…

親が死んでも花は咲く「尋ねられたときには」リーゼル・ミューラー

"When I Am Asked" by Lisel Mueller なぜ、人は詩を書くのでしょうか。 「どうして詩を書くようになったのか」と聞かれると、詩人は「自然の無関心」について話すのだといいます。 詩人の母親が亡くなってすぐ、それは「すべてのものが咲き誇る」「輝くよう…

そして私は花だった。「冬の詩」ニッキ・ジョバンニ

"Winter Poem" by Nikki Giovanni 冬の終わりに、雪が降り始めたときのこと。 あるとき「雪」が「私の額」に落ちてきた。「私」はその雪を深く愛し「くちづけ」る。すると「雪」は嬉しくなってしまって、「いとこ」や「兄弟たち」を呼び集めた。雪に包まれた…

死後のお隣さん。「二人の幽霊の会話」エミリ・ディキンスン

「二人の幽霊の会話」 エミリ・ディキンスン 私は美のために死んだ、だが 墓には馴染めなかった 真実のために死んだ人が 隣で横たわっていたとき。 彼は優しく、なぜ私が死んだのか尋ねた。 「美のために」と私は答えた。 「僕は真実のためにーーこの二つは…

乗ってみたい?「タイタニック」デイヴィッド・スラヴィット

"Titanic" by David Slavitt その運命を知っていたら、誰だって乗船しようとは思わないタイタニック号。 けれど詩人は「誰がタイタニックを嫌いになれるだろう?」「明日同じ航路のチケットが売り出されたら、誰が買わずに入られるだろう?」と話す。 なぜ?…

娘の目にはパパの笑顔。 Richard Jones "After Work"

Richard Jonesの"After Work"。 これはニューヨークの大都会で働くお父さんの詩。 地下鉄の駅から、夕暮れのマンハッタンへと出る。「スーパーの女たち」も「タクシー運転手」も何か大声でわめいていて、まるで「心臓を乱暴に掴まれた」みたい。 「一日中働…

土曜の朝の秘密 Hugo Williams "Saturday Morning"

"Saturday Morning" Hugo Williams 金曜の夜が、恋人やパートナーと愛を確かめ合う時間なら、そのあとの土曜の朝、みんなはどんな顔をしているのだろう?詩人によると、「頭のてっぺんに、赤いライトをちかちかさせ」ているらしい。「白髪のジェントルマン」…

ノートが好きです。(今週のお題「私の沼」)

今週のお題「私の沼」 ノートが好きです。 近くの本屋さんでも旅行先でも、一目惚れすると後先考えずに買います。展覧会とかも最高です。(数年前のメアリー・ブレア展のノートなんてほんとかわいい。) お店でノートを見かけると手に取らずにいられません。…

グルメなんて知るか!フツーなレタスへの深い愛 Gerald Locklin "The Iceberg Theory"

Gerald Locklin "The Iceberg Theory" 少し前、批評家が大絶賛している映画を見に行ったら、全然楽しめなくて苦行状態になりました。そして、あ〜私って見る目がないんだなぁ、と考えてちょっとだけへこみました。ちょっとだけ。 そんな私に自信を取り戻して…

リア充生活の裏で Robert Hass "The Feast"

Robert Hass "The Feast" アメリカで何度かディナーにお呼ばれしたことがあります。映画かと思うような、キラキラした世界です。・・・旦那さんに玄関でコートを預け、奥さんに手土産を渡す。リビングに入ると、飲み物の好みを聞かれる。綺麗に整えられた部…

「事実」がどうでもよくなる瞬間 Lisel Mueller "Romantics: Johannes Brahms and Clara Schumann"

Lisel Muellerの"Romantics: Johannes Brahms and Clara Schumann" 最近、恩田陸の『蜜蜂と遠雷』を読んだのですが、その流れでクラシック音楽を聴いていました。(単純。)そんな中見つけたのが、このリーゼル・ミューラーの「ロマンティックーーヨハネス・…

Good Poemsという詩集

Garrisn Keillor編 Good Poems 何冊かある手持ちのアンソロジーの中で、普段いちばん気軽に開いているのが、Garrison Keillorが編集したGood Poemsという詩集。The Writer's Almanacというラジオ番組で紹介された数千の詩の中から約290篇が収められています…

優しくてちょっと厳しい詩 Mary Oliverの"Wild Geese"  

Mary Oliverの"Wild Geese"。こちらのウェブサイトで原文が見れます。 (http://www.phys.unm.edu/~tw/fas/yits/archive/oliver_wildgeese.html)もともと友人に教えてもらったのですが、読み手に寄り添ってくれるような優しい詩です。疲れた心に染み入りま…

このブログについて

こんにちは。大学院でアメリカ文学を勉強している楓といいます。小説も戯曲も好きですが、詩がいちばん好きです。 このブログでは、英米詩を中心に、本や漫画、映画など好きだなぁと思ったものについて記録していきたいと思っています。 授業外で詩を読んで…